レーシングシミュレーター用のコックピット(特にSUSコクピなど剛性の高いもの)にSimVibeを搭載すると、実際のところかなり振動します。木製コックピットと違ってSUSフレームはほとんど振動を吸収してくれないので、それはダイレクトに床に伝わります。
ゴムやゲルのisolatorは、振幅の小さい周波数高めの振動は変形によってよく吸収してくれますが、~50Hzくらいのサスペンションの突き上げショックのような振幅の大きい低周波振動には、そもそもあまり効果がありません。大学んときに勉強したような気がするけど忘れてました。
防振ゴム程度の対策では家族に怒られます。つまり、怒られました。
マンションの躯体に振動を伝えてる可能性は、おそらく無いとは思われますが否定できません。
万が一階下の住民からクレームが来でもしたらSimVibe禁止令が出て、もう絶対未来永劫金輪際SimVibe使えません。振動をきっかけにいろんなうっぷんが爆発してレースシム自体に禁止令が出ては目も当てられません。それにおうちでレースできないなんて死んでしまいますよ。

よし、本気で振動対策をしよう。
SimVibeを駆動させても家族がまったく気付かないくらいを目指す。
そして、SimVibeを乗り物酔いするくらいの爆音(爆振?)で駆動させることが最終目標だ!

それに使えそうなソリューションに、「タイヤふにゃふにゃシステム」というものがあるらしい。自宅で電子ドラムを叩く人が考案した、浮き床構造の振動対策。自転車のタイヤチューブを膨らませて、寝かせて並べた上に大きな板をのせ、ドラムセットを丸ごとフローティングしてしまう。木造一戸建てでも、2階で電子ドラム練習をしていることに1階の家族がまったく気付かないくらい効くらしい。ドラムの振動をキャンセルできるなら、SimVibe程度なんて余裕で消し去ってくれるんじゃないだろうか。
これの発展系で、タイヤチューブの代わりにフィットネス用のバランスディスクを使用し、ノーメンテを実現した「ディスクふにゃふにゃシステム」がいいらしい。これを試してみる!

防振について勉強した。今回の案件に効くのは、「除振(振動絶縁)」だ。それには自動車や新幹線でも使われている「空気ばね」が効果的らしい。
ふにゃふにゃシステムは、「空気ばね」そのものじゃないか。空気ばねは除振性能が高い。高周波はもちろん、ゴム等では無理な数10ヘルツオーダーの低周波にも効果大。荷重によってばね定数が変化する非線形特性のため、振動系で利用する場合はダンピング性能も期待できると誰かの論文に書いてあった。もうこれは空気ばねしか考えられないじゃないか。
(たまにタイヤの代用に中空のホースやスポンジでやってる人もいるけど、それじゃ普通にゴムやフェルト敷くのと変わらないということですね。)


実践

ディスクは、La・VIE(ラ・ヴィ) バランスファイター 3B-4728を使うことにした。普通のディスクは直径350mmくらいのところ、これは直径300mmで小さめ。だけど高さがあるので空気量は同じくらい。色が黒いのも良いね。しかも普通のディスクよりプニプニしてるから効果もより高い、かもしれない。これを2セット(4個)調達。

四輪独立懸架にしようと思ってたけど、省スペース性を考えて2個1セットを2ヶ所使うことにした。バランスディスク2個分の大きさの、300x600mmの化粧板を2枚用意。コクピとの間にはさむ。
棚板用の化粧板を使ったら、うちのように板の両端に荷重が乗るように乗せるとちょっと撓む。そのうち無垢の板で作り直すかも。


ディスクのグリップ力が高いので、床とのあいだに暫時ビニール袋を挟んである。そのまま置いたらひきずって移動できない。いずれフェルトか何か滑りやすい素材で置き換えるつもり。
エア量を調整して水平出しして完成。
乗り込むときは、確かにぐらぐらする。しかしフルバケに収まってしまえばコクピの重心は動かないのでまったく気にならない。逆に、動く感じがサスペンション感を醸し出しているようにさえ思えてくる。
乗り込むときに傾くのが気になる場合は、板を大きくしてディスクのトレッド幅を広げれば解決するね。


検証

客観的なデータをお示しするよ。
振動の測定には、地震計 - iSeismometer (iOS Android)というスマートフォンアプリを使用。
グラフは、左半分がコックピットのSUSフレーム上にiPhoneを置いて測定したもの。右半分が床に直接置いて測定したもの。つまり、コクピの揺れと、床に伝わっている振動の比較をすることで防振性能をチェックする。
どれもiRacingで同じ場所の芝生を走行したときの振動だよ。本当は振動音声データを録音しといて、それを再生し同じ条件で比較すべきだろうけど手抜き。参考程度にはなるでしょ。



防振ゴム+発泡ウレタン+耐震ゲル

防振ゴムでは2目盛り振動が1目盛りに減衰している。いろいろ積層構造にしてこれか。XY軸(水平方向)はキレイに消えてるけど、Z軸(垂直方向)は50%くらいの減衰。
SUSコクピにパイプ保護用スポンジを使用している某氏も減衰は50%くらいのようだ。どんなにがんばっても、クッションを挟む系の防振効果はせいぜい50%なのかもしれない。


ディスクふにゃふにゃシステム+防振ゴム


こうかは ばつぐんだ!

調子にのって構築前ののテストよりボリュームを上げているけど、3目盛りオーバーが0.4目盛りくらいに減衰できてる。ゴムより4倍以上効果的!縁石を使いまくる Road Atlanta をガンガン攻め込んでいても、家族がまったく気付かなかった!大成功だ!!
うちは振動ユニットのため防振ゴムも併用してるけど、それも要らないかもしれない。
ちなみに、そっとしずかーに歩いたときの床振動が0.7目盛りくらい。


そして、床に伝えるのは0.5目盛りまでという自主規制を制定した。フレーム上で3目盛りくらいの振動で楽しんでいるよ。これ以上目指すなら、別体エアタンク付き空気ばねの導入か、アクティブサスの導入しかないね。



~追記~
岐阜市公式ホームページ - 騒音・振動規制法関係 の中の、振動の基礎知識(pdf) に興味深いデータがあった。
ゴムやパットを敷く=-6dBつまり50%減衰つーことで、iphoneアプリ測定結果の信憑性高そう。測定結果を信じれば、うちのふにゃふにゃは-14dB(20%に減衰)くらい。
SimVibeの防振には、やっぱり空気ばね搭載しか考えられないな!
次は動吸振、つまり「マスダンパー」搭載かな!!

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